モバイルバッテリー火災が過去最多ペース——枕元の充電、そのままで大丈夫?
リチウムイオン電池火災の急増が看護に与える影響は、病棟と在宅の「持ち込み物品リスク」が引き上がることです。患者さんの私物のモバイルバッテリーは、病棟の枕元でも在宅酸素の部屋でも、これまでの防火チェックの想定外にあります。
ニュースの要約
東京消防庁管内で、リチウムイオン電池が原因の火災が2025年に382件と過去最多になりました。2026年はさらに前年の約1.5倍のペースで増えていて、いちばん多い出火元はモバイルバッテリーです。
現場に影響するルート
- Step 1 東京消防庁管内のリチウムイオン電池関連火災が2025年に382件と過去最多。2026年は前年の約1.5倍ペースで、最多の出火元はモバイルバッテリー
- Step 2 スマホ・モバイルバッテリーは入院患者のほぼ全員が持ち込む「標準装備」になっている
- Step 3 病棟の枕元での充電、在宅酸素療法の部屋での使用など、医療環境に発火源が持ち込まれる場面が増加
- Final Step 病棟の持ち込み物品ルールと、訪問看護の環境アセスメント項目に「バッテリーの品質・充電場所」という新しい観点が必要になる
「火気厳禁」の部屋に、小さな火種が増えている
モバイルバッテリーをはじめとするリチウムイオン電池の火災が、いま急増しています。ふだんの生活ニュースに見えますよね。でも看護の目で見ると、景色が少し変わってきます。
考えてみてください。いま、入院してくる患者さんのほぼ全員が、スマホとバッテリーを持ってきます。在宅酸素の患者さんの部屋にも、充電器がいくつも並んでいます。つまり、「火気厳禁」のはずの医療環境に、発火源が当たり前に持ち込まれる時代になっているのです。一方で、防火のチェックリストは「タバコとライター」の想定のままではないでしょうか。
現場で気をつけたい3つのポイント
1. いちばん危ないのは、在宅酸素との組み合わせです。 酸素濃縮器のそばで発火すると、被害の桁が変わります。訪問看護で火気の確認はしていても、「モバイルバッテリーをどこで充電しているか」まで見ている事業所はまだ多くありません。
2. 病棟の枕元も、意外と無防備です。 消灯後、布団やタオルの上でバッテリーを充電したまま眠る患者さんは珍しくありません。持ち込み物品のルールに「充電は決まった場所で」「膨らんだバッテリーは持ち込まない」の一文があるかどうかで、夜勤帯の安心感が変わります。
3. 「安いバッテリー」の見分けは、患者教育の出番です。 出火の原因には、非純正品や格安品が目立ちます。退院指導や訪問のときの何気ないひとこと——「そのバッテリー、膨らんでいませんか?」——が、そのまま防火指導になります。
夏は一年でいちばん電池火災が多い季節です。次の訪問、次の入院受け入れから、環境チェックに一行足してみる。それがこのニュースのいちばん小さな一手です。
よくある疑問
Q. この影響を最初に受けるのは誰?
A. 在宅酸素療法(HOT)の患者さんを担当する訪問看護師です。酸素濃縮器のそばは本来火気厳禁ですが、モバイルバッテリーや非純正の充電器が同じ部屋にあるケースは珍しくなく、もし発火するとリスクが桁違いに大きくなります。
Q. 現場で今すぐできることは?
A. 訪問時・入院時の環境チェックに「どこで何を充電していますか?」を一項目加えることです。膨らんだバッテリーや、布団の上での充電に気づいたら声をかける——それだけで今日から防火指導になります。