環境

デング熱を運ぶ蚊、生息域がじわじわ拡大——渡航歴のない発熱患者、鑑別に入れていますか?

💡 看護への影響ポイント

気候変動や都市化でデング熱・チクングニア熱を媒介する蚊の生息域が拡大していることが看護に与える影響は、これまで海外渡航歴のある人の感染症として扱われてきた病気が国内感染のリスクも帯び始めており、看護師が発熱患者の問診で蚊媒介感染症を鑑別に入れる意識を持つ必要が出てくるという点です。

ニュースの要約

横浜市が公開した蚊媒介感染症の診療ガイドラインによると、気候変動・人口増加・都市化などにより、デング熱やチクングニア熱を媒介するネッタイシマカ・ヒトスジシマカの生息域が新たな地域へ拡大している。日本では主要媒介蚊のヒトスジシマカが国内広域に生息しており、輸入例を契機とした国内二次感染のリスクに留意が必要とされている。

出典: 横浜市(2026-08-18の報道)元記事を見る ↗

現場に影響するルート

  1. Step 1気候変動・都市化などにより、デング熱・チクングニア熱を媒介するネッタイシマカ・ヒトスジシマカの生息域が新たな地域へ拡大していると横浜市のガイドラインが指摘している
  2. Step 2デング熱の症例報告は世界的に急増しており、日本国内でも主要媒介蚊のヒトスジシマカが広域に生息しているため、輸入例をきっかけとした国内二次感染のリスクが指摘されている
  3. Step 3これまで『海外渡航歴のある人がかかる病気』というイメージが強かったデング熱・チクングニア熱だが、生息域の拡大により今後は渡航歴のない患者にも起こりうる可能性が出てくる
  4. Final Step発熱・関節痛・発疹などの症状を診る看護師は、問診で海外渡航歴だけでなく、国内での蚊刺されの状況も確認する視点を持っておく価値がある

海外に行ったことがなくても、デング熱にかかる時代がやってくるかもしれません。

横浜市が公開した蚊媒介感染症の診療ガイドラインによると、気候変動や人口増加、都市化などの要因により、デング熱やチクングニア熱を媒介する蚊——ネッタイシマカやヒトスジシマカ——の生息域が新たな地域へと拡大しています。デング熱の症例報告は世界的に急増しており、2021年以降はほぼ年率2倍のペースで増えているといいます。2024年には約1500万件がWHOに報告され、うち約5万5000件が重症例でした。

日本ではこれまで、こうした感染症は「海外渡航歴のある人がかかる病気」というイメージが強くありました。実際、国内感染例はまだ確認されていません。ただ、主要な媒介蚊であるヒトスジシマカは、すでに国内の広い地域に生息しています。海外からの輸入例をきっかけに、国内で二次感染が起きるリスクは、ゼロではないのです。実際にヨーロッパでは2010年以降、輸入例を発端とした国内感染事例が報告されるようになっています。

気候変動が進むほど、蚊の生息域はさらに広がっていくと予測されています。今は「稀なケース」であっても、この先じわじわと状況が変わっていく可能性は頭に入れておきたいところです。

発熱や関節痛、発疹といった症状を訴える患者を診るとき、看護師はこれまで「海外渡航歴があるか」を確認してきました。今後はそれに加えて、「最近、蚊に刺されたか」という問いも、渡航歴のない患者に対してさりげなく持っておく視点になっていきそうです。

よくある疑問

Q.この影響を最初に受けるのは誰?

A.発熱外来や救急外来で患者の問診を担当する看護師と、地域の感染症サーベイランスを担う保健師がまず関わってきます。

Q.現場で今すぐできることは?

A.今すぐ問診票を変える必要はありませんが、発熱・発疹・関節痛のある患者に「最近蚊に刺されたか」を尋ねる視点を、海外渡航歴の確認とあわせて持っておくと気づきの手がかりになります。