搬送ロボット導入1年で年330時間の業務削減——変わったのは「時間」だけじゃなかった
東京慈恵会医科大学附属柏病院で搬送ロボット「KEENON W3」の1年間の運用実績が公表され、検体・薬剤搬送の代替により年間330時間超の業務工数を削減したことが看護に与える影響は、看護補助者の移動負担が50%減少し、看護師が患者ケアに充てられる時間の余白が生まれつつあるという点です。

ニュースの要約
DFA Roboticsは、2025年6月より搬送ロボット「KEENON W3」を本格導入した東京慈恵会医科大学附属柏病院における1年間の運用実績を公開した。検体や薬剤搬送を代替したことで内科外来・外来化学療法室・薬剤部において年間330時間を超える業務工数を削減。職員アンケートでは回答者の約9割が「本来の業務に使える時間や集中できる環境が増えた」と回答した。
現場に影響するルート
- Step 1搬送ロボット「KEENON W3」を2025年6月に本格導入した東京慈恵会医科大学附属柏病院で、1年間の運用実績が公表された
- Step 2検体・薬剤の搬送という付随業務をロボットが代替したことで、内科外来・外来化学療法室・薬剤部で年間330時間を超える業務工数が削減された
- Step 3職員アンケートでは約9割が「本来の業務に使える時間や集中できる環境が増えた」と回答し、看護補助者の移動負担は導入前と比べ50%減少したという実測結果も示された
- Final Step導入前は「コスト面・安全面」で反対意見もあったといい、実証実験による数字での効果検証が現場の納得感を後押しした好例といえる
『導入前はコスト面や安全面で反対意見もありました』——そう振り返るのは、東京慈恵会医科大学附属柏病院の看護部長です。
搬送ロボット「KEENON W3」を2025年6月に本格導入した同院では、このたび1年間の運用実績が公表されました。築40年を迎える院内には検体や薬剤を送る気送管システムがなく、これまで職員が広大な院内を歩いて搬送を担ってきたといいます。ロボット導入後は、内科外来・外来化学療法室・薬剤部において年間330時間を超える業務工数が削減されました。職員アンケートでは回答者の約9割が「本来の業務に使える時間や集中できる環境が増えた」と回答しています。
導入前に反対意見があったという事実は、示唆に富みます。効果は「導入すれば当然出るもの」ではなく、実証実験でビーコンを使って移動負担を測定するなど、数字による裏付けがあって初めて現場の納得感につながったのです。看護補助者の移動負担は導入前と比べ50%減少したとされ、これは看護師が患者ケアに充てられる時間の余白にもつながる変化だといえるでしょう。
薬剤師からも、看護補助者への電話依頼が減って精神的な負担が軽くなった、調剤状況を確認しに行く手間が省けたといった声が上がっているといいます。人手不足が続く医療現場では、こうした「ケアそのものではない業務」をどれだけ丁寧に洗い出し、数字で語れるかが、限られた人員配置を見直す際の判断材料になりそうです。
よくある疑問
Q.この影響を最初に受けるのは誰?
A.検体・薬剤の搬送を日常的に担ってきた看護補助者・薬剤師と、搬送業務の削減で患者対応の時間が増える看護師がまず関わってきます。
Q.現場で今すぐできることは?
A.今すぐ導入を検討する必要はありませんが、自院で搬送・運搬にどれくらいの時間が割かれているかを一度可視化してみると、業務改善の材料になります。