クレームは『個人の忍耐』じゃなくなる——カスハラ対策が10月から全事業所の義務に、医療・福祉が一番深刻だったって知ってた?
カスタマーハラスメント対策の義務化が看護に与える影響は、患者さんやご家族からの理不尽な言動への対応が、個人の我慢ではなく組織のルールとして扱われるようになることです。
ニュースの要約
2025年6月に成立した改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日から、従業員を1人でも雇用するすべての事業主に『カスタマーハラスメント』への対策が法律上の義務として課される。厚生労働省の調査では、業種別のカスハラ相談割合は医療・福祉が最も高く、対応の仕組みづくりが急がれている。
現場に影響するルート
- Step 1 改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日から、従業員を1人でも雇用するすべての事業主に『顧客等からの著しい迷惑行為』への対策が法律上の義務として課される
- Step 2 病院・診療所・訪問看護ステーションも例外なく『事業主』として対象に含まれ、方針の明文化・相談窓口の設置・記録・再発防止という具体的な運用が求められる
- Step 3 厚生労働省が調査した業種別のカスハラ相談割合では、医療・福祉が53.9%と全業種の中で最も高く、患者さんやご家族からの暴言や過大な要求が現場で常態化していた実態が浮き彫りになった
- Final Step 『患者さんだから仕方ない』という空気の中で個人の忍耐に委ねられてきた対応が、10月以降は院内の相談窓口・対処マニュアルという組織的な仕組みに置き換わっていく
「患者さんやご家族のことだから、多少のことは仕方ない」——そんなふうに、理不尽な言葉を飲み込んできた経験はありませんか。
2025年6月に成立した改正労働施策総合推進法によって、2026年10月1日から、従業員を1人でも雇用するすべての事業主に「カスタマーハラスメント」への対策が法律上の義務として課されます。方針を明確にして周知すること、相談窓口を設けること、実際に起きたときは事実確認と再発防止まで行うこと。この4つが柱です。企業規模による猶予は一切なく、病院や診療所、訪問看護ステーションも、例外なく対象に含まれます。
考えてみてください。厚生労働省が実態を調べたところ、業種別のカスハラ相談割合は「医療・福祉」が53.9%で、全業種の中で最も高い結果でした。宿泊業や飲食サービス業を上回る数字です。看護の現場では「患者さんだから」「病気で不安だから」という理由で、暴言や過大な要求への対応が個人の忍耐に委ねられがちだったことが、あらためて数字として裏づけられたことになります。
10月以降は、この状況が変わります。何がカスハラに当たるのかを組織として定義し、一人で対応させない体制をつくり、相談したことで不利益を受けない仕組みを整える。これまで「自分がうまく対応できなかっただけ」と抱え込んでいたことが、院内のルールとして扱われるようになるのです。
もちろん、正当な苦情や不安の訴えまでカスハラ扱いにするわけではありません。線引きが難しい場面も出てくるはずです。それでも、自分と同僚を守るための土台が、法律として整うことは大きな一歩です。10月の施行日まで、まだ準備の時間はあります。
よくある疑問
Q. この影響を最初に受けるのは誰?
A. 10月1日の施行までに院内の相談窓口や対応マニュアルを整備する立場にある看護部長・事務長・医療安全管理者が、まず対応を求められます。ただし実際に患者さんやご家族と接するすべての看護師にとって、自分を守る仕組みが用意されるかどうかに関わる話です。
Q. 現場で今すぐできることは?
A. 自分の職場に相談窓口があるか、理不尽な言動に遭ったときの報告手順が決まっているかを確認しておきましょう。決まっていなければ、10月の施行を機に整備を提案するいいタイミングになります。