大手企業の賃上げ率5.37%、経団連が発表——病院・診療所の給与はなぜ追いつかない?
経団連が発表した2026年春闘の大手企業賃上げ率5.37%(3年連続5%超、引き上げ額は過去最高)が看護に与える影響は、公定価格の診療報酬に縛られる病院・診療所が同じペースで賃上げできず、大手企業との給与差がさらに広がり、看護補助者や若手看護師の人材流出リスクが高まるという点です。

ニュースの要約
経団連は2026年8月4日、大手企業の春闘最終集計を発表した。定期昇給とベースアップを合わせた賃上げ率は平均5.37%で3年連続5%超、引き上げ額は1人平均1万9752円で1976年以降の集計方法で過去最高となった。
現場に影響するルート
- Step 1経団連が2026年8月4日、大手企業の賃上げ率5.37%(3年連続5%超)・引き上げ額過去最高(1万9752円)を正式発表した
- Step 2しかし病院・診療所の収入は診療報酬という国が定める公定価格に縛られており、民間大手企業のように業績に応じて賃上げ原資を柔軟に増やすことができない
- Step 3その結果、大手企業の賃上げペースに医療機関の賃上げが追いつけず、給与差は年々広がりやすい構造にある
- Final Step特に賃金の絶対額が低く他業界への転職ハードルが低い看護補助者や若手看護師ほど、この給与差の影響を受けやすく、人材流出・採用難につながりかねない
「賃上げ率5.37%、3年連続5%超」——経団連が2026年8月4日に発表した春闘の最終集計は、そんな明るいニュースでした。引き上げ額は1人平均1万9752円で、1976年以降の集計方法では過去最高。人手不足や物価高への対応として、大手企業が積極的に賃上げを進めていることがうかがえます。
ただ、このニュースを素直に喜べない業界があります。それが医療、とりわけ病院や診療所です。
大手企業は自社の業績次第で、賃上げの原資をある程度柔軟に増やすことができます。ところが病院・診療所の収入の大部分は、国が2年に1度改定する「診療報酬」という公定価格で決まっています。いくら物価が上がっても、いくら周りの企業が賃上げしても、診療報酬が動かない限り、病院側が自由に使える賃上げの原資は増えません。
この構造がある限り、大手企業の賃上げペースに医療機関が追いつくのは簡単ではなく、給与差は年々広がりやすくなります。特に影響を受けやすいのが、賃金の絶対額が低く、他業界への転職のハードルも比較的低い看護補助者や、経験の浅い若手看護師です。「隣の芝生」が青く見える場面は、これからも増えていきそうです。
看護部や人事の担当者は、他業界の賃上げ動向を踏まえたうえで、賃金以外の待遇面(勤務シフトの柔軟性・研修機会など)をどう充実させるか、そして採用面接でどう説明するかを、今のうちに整理しておくと安心です。
よくある疑問
Q.この影響を最初に受けるのは誰?
A.他業界への転職ハードルが比較的低い看護補助者や、経験年数の浅い若手看護師が、給与差を実感しやすい立場にあります。
Q.現場で今すぐできることは?
A.看護部・人事担当は、他業界の賃上げ動向を踏まえたうえで、賃金以外の待遇(勤務シフトの柔軟性・研修機会など)の見直しや、採用面接での説明材料の整理を進めておくと安心です。