看護師の養成校が『廃校の非常事態』——厚労省検討会が突きつけた養成体制の危うさ
厚生労働省の検討会が医療関係職種の養成・確保をめぐる課題を社会保障審議会医療部会に報告し、看護職の実習先確保の困難や養成校の定員充足率低下・廃校増加が指摘されたことが看護に与える影響は、将来の人材補充ペースそのものが細っていく可能性があり、現場の実習受け入れ体制の維持が一段と重要になるという点です。

ニュースの要約
厚生労働省は7月24日の社会保障審議会医療部会に「医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会」の検討状況を報告した。委員からは養成校への財政支援や担い手の処遇改善を求める意見が相次ぎ、看護師をはじめとする医療関係職種の養成校の廃校増加を「非常事態」と訴える声も上がった。
現場に影響するルート
- Step 1厚生労働省の検討会が、医療関係職種の養成・確保をめぐる課題を7月24日の社会保障審議会医療部会に報告した
- Step 2議論の中で、看護職は実習先の確保が困難であること、医療関係職種の養成を担う大学・専門学校の定員充足率が低下傾向にあることが課題として共有された
- Step 3委員からは看護師をはじめとする医療関係職種の養成校の廃校増加を『非常事態』とする訴えがあり、養成校への財政支援を国に求める意見が相次いだ
- Final Step検討会の取りまとめは冬頃の予定で、現時点では具体策は決まっていないが、養成の入り口が細れば数年後の人材補充ペースに直接影響するため、現場の実習受け入れ体制を維持できるかが一段と重要な論点になる
『看護師が足りない』——その言葉の裏側で、育てる場所そのものが減りつつあるとしたら。
厚生労働省の「医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会」は、7月24日の社会保障審議会医療部会に検討状況を報告しました。2040年に向けて高齢者数の増加と生産年齢人口の減少が見込まれるなか、地域で必要な看護師や理学療法士など医師以外の医療関係職種をどう確保していくかを議論する場です。委員からは、看護職は実習先の確保が難しいこと、養成を担う大学・専門学校の定員充足率が低下傾向にあることが指摘されました。
なかでも印象的だったのは、日本医師会の委員による「養成校の廃校増加は非常事態」という訴えです。経営上の理由などで廃校を予定している養成校に対し、国が財政支援をするよう求める意見も相次ぎました。あわせて、養成校が人口規模の大きい都道府県に偏って立地しており、小規模な県との間で確保できる人材数に大きな差が生じているという指摘もありました。
検討会の取りまとめは冬頃の予定で、今のところ具体策は決まっていません。健保連の常務理事は、養成校のカリキュラム見直しといった中長期的な課題と、働く環境の好事例を横展開するような短期的な課題を整理し、実施できるものから速やかに対応するよう求めています。養成の入り口が細れば、その影響は数年後の人材補充ペースに直接跳ね返ってきます。今、実習生を受け入れている病院の体制そのものが、将来の看護師不足を左右する一因になっているのです。
よくある疑問
Q.この影響を最初に受けるのは誰?
A.看護学生の実習を受け入れている病院の実習指導者・看護管理者と、これから看護師を目指す若い世代がまず関わってきます。
Q.現場で今すぐできることは?
A.今すぐ何かが変わるわけではありませんが、自院が実習先としてどの程度学生を受け入れられる体制にあるか、この機会に一度振り返っておくと今後の変化に備えやすくなります。